cute aggression

彼女の喉から漏れる矯声が悲鳴みたいに聞こえて、劣情を喚起させた。右の掌を華奢な首に押し当てると声が一層高くなって、表情は恍惚と苦悶が衝突するように歪んだ。金属が軋むような音が断続的に響く。

彼女は僕の眼差しから愛情を読み取っている。そして、それに共鳴した中枢神経はエンドルフィンに満たされているのだろう。けれども僕の心の中では苛虐に伴う悦楽と罪悪感が相剋していて、安らかさからは程遠かった。そこでは抑圧されていた暴力性や猟奇性が詳らかにされているようだった。動悸をかき消すように腕にこもる力が強くなって、それから彼女の唇を塞いだ。

生得的に潜んでいた感情が承認されているのはきっと喜ばしいことなのに、屈折した愛情関係に加担していることに対して後ろめたい気持ちになる。

「可愛すぎておかしなりそう。優しくできやんかもしれん」台本を読み上げるみたいに呟く。どこかで聞いたような台詞だと思った。そうして僕の口は道具になっていく。欲情を誘うための機械に落ちぶれていく。