2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

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それからしばらく身を重ねていた。 君の体温と身体の重みだけが世界の全てだったから、肌が離れた途端に心まで冷えるようだった。 私はずっとまどろみに浸っていたいのに、君は先にふたりの夢から覚めて私に背を向けてしまう。あれだけ軽い気持ちで可愛いっ…

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僕のアパートでふたりで映画を見ていた。 開幕から幾許かの時間が過ぎて、漫ろに隣に座る君を見た。薄暗い部屋で横顔が仄白く照らされていて、黒目がちな瞳は琥珀のように鈍く澄んでいる。それがいつになく嬌しく見えて、世俗の綺麗なものなんて何も要らない…